読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年1月以降発行タイトル対象。
感想はブログにある記事以外にも、タイトル・作者順の目次のある本舎の漫画感想にも多数あります
朱黒の仁 槇えびし
2017年06月16日 (金) | 編集 |


戦国時代最強の武将を謳われる真田幸村、彼の息子と兄弟を描いた戦国絵巻。
冒頭は真田信之の視点だが、本筋であろう大坂の陣へ舞台が移り真田幸村視点で物語が展開されていく。幸村の生き様をメインとしているのだろうが、身内で敵味方に別れた真田一族のドラマを主軸としていくのかもしれない。
蟄居していた幸村が大阪城へ行き名を残すに至る彼の生き様が熱い。焦点をあてる人物によっては不可欠な滅びの美学みたいな熱くも格好良い人物描写が突出した内容。ある種の気怠げな雰囲気を持つ絵柄と描写が主題とあっており見応えがある。
※当初は角川から出ていたが朝日新聞出版から再発売された模様。

槇えびし
Nemuki+コミックス3巻 / 朝日新聞出版
ジャンル:女性・歴史・ドラマ / 好み度:★★★★☆
サボテンの娘 桐原いづみ
2017年05月28日 (日) | 編集 |


昭和60年の片田舎が舞台。サボテンに傾倒した父、祖父母、母、こども三人の三世代家族農家の長女をはじめとした日常を綴った物語。
物語の舞台は昭和60年の片田舎。主人公は三世代の農家の家の長女。彼女の父はサボテンに傾倒し、庭には大小様々なサボテンが植わっている。ご近所でも有名でサボテンにまつわるあだ名をつけられたりする。それがいやでたまらない主人公。
昭和時代の田舎の暮らしを描いた話、というかんじ。中年くらいで地方住みの経験がある人には、懐かしいというか、あるあるじゃなくあったあった、みたいな共感を覚えるエピソードもあるんじゃなかろうか。
あの時代の農家の多い地方の、独特ののんびりさとせわしなさ。サボテンが話のキーアイテムなんだろうけど、話の主軸に置いているようで中心に据えていないという感じ。でもそれがあって話が引き締まっている印象もある。このあたり絶妙だなと思う。
主人公の少女の漠然とした不満の描写は良く出ている。二話目で母親の視点というかタイムスケジュールのエピソードがあるが農家の嫁はほんと大変だ・・。こどもはおとなの事情関係なくかまってほしいわな~と、両方の気持ちがなんとなく共感できてしまう。

桐原いづみ
アクションコミックス / 双葉社
ジャンル:青年・日常ドラマコメディ / 好み度:★★★☆☆
束縛愛~彼氏を引きこもらせる100の方法~ 小路啓之
2017年05月21日 (日) | 編集 |


他者の大事なモノの数が見える少年は、その数が自分と同じく0のクラスメイトの女子を見つける。しかし彼女は空き家に少年を飼っているのだった。
一話目は他者の大事なモノの数が頭の上に数字に現れる少年の視点。見える少年自身は0、つまり大事なモノはなく、またクラスメイトの目立たない眼鏡の少女も0であることを知り興味を持つ、というはじまり、なのだがあくまでプロローグっぽく、視点はその少女のほうにシフトする。彼女は空き家に少年をかくまっている、というか飼っているという認識。少年は両親は既になく施設通いという境遇で、今まで住んでいたその空き家に住みつづけたいと望み、女子はその望みのため食など世話をするという構図。
アンダーグラウンドな領域にも関わったためそれなりのしっぺ返しもくらう。いわゆる監禁モノとも言えなくもないが、当の少年が引きこもりを望み女子は少年の望みを叶えたいとちょっと違うベクトルなのかな~と。まあ歪んでねじ曲がった恋愛モノではあるのだが。設定的に醸し出されそうなエロスは少なく、前面に出すねちっこい描写は少なく。どちらかというと文学的な退廃の描写を彷彿とさせつつリアルな要素も出してくる雰囲気は、設定は違えど既作品と似ているので著者の作風なのだろう。しかしどう話を進めるのかいろんな意味で気になる。

<しょうじひろゆき>小路啓之
ヤングチャンピオン烈コミックス全2巻 / 秋田書店
ジャンル:青年・サスペンス / 好み度:★★★☆☆
女子大生の日常 津々巳あや
2017年04月15日 (土) | 編集 |


四国・徳島の国立教育大に通う「家庭教師サークル」に所属する女子大生3人を中心としたドタバタキャンパスライフコメディ。
舞台は徳島の国立教育大。実力ではなくお世辞なしに運だけで入学したフリーダムな女子大生は、家庭教師のバイトをすることを思いつくが、どうしていいものかわからず、学内に家庭教師サークルが存在することを知り行ってみる。
サークルのメンバーは同学年の女子で幼馴染みの二人、はいいのだが、その活動は妙ちきりんで・・・、というはじまり。とりま奇妙でも変則でも家庭教師(のバイト)を目指すのが主軸かと思ったらそうでもなかった。自由すぎる自由人の主人公、幼馴染みに執着を持つ表向き笑顔が絶えないお嬢様、幼馴染みに良いように情報を吹き込まれつつ素直に受け止める女子校ではお姉様と呼ばれそうなボーイッシュ系の常識人。癖が強すぎる。で、この3人だけではまわし切れないのかじわじわと脇キャラが増えていく仕様。
どこか抜けていたり突き抜けていたりするキャラ達によるゆるくもアグレッシブなキャンパスライフコメディといったところか。わざわざ地方の大学に舞台を置いた意味がいまいちよくわからないが、著者の経験を活かせる舞台なのか地方ならではの立地背景のネタをやりやすいからなのか。
テンポが良く気いい意味でグダグダ感満載。負いせずにゆるく読める内容。こういうのは大好き。幕間にある著者自身の家庭教師のバイト体験談が本編より楽しいのは内緒だ。

MFコミックスアライブシリーズ全4巻 / メディアファクトリー
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★★
死役所 あずみきし
2017年04月15日 (土) | 編集 |


お客様は仏様です。現世とあの世の境目に存在し、死人が手続きをしどちらの先に行くかを手続きする「死役所」を舞台にしたヒューマンドラマ。
話の語り手のメインは役所の総合案内係を担う笑みが張り付いた眼鏡の男性。むろん他の所員も登場するのだが。ちなみに役所の職員になっている人たちはある基準があるようで、物語の終わりあたりか伏線とかで職員たちにも焦点が当てられていくのかな。
物語の主格は、死んで役所にやってくる人たち。事故死・自殺・他者をかばっての死、虐待死・・・様々な年齢・性別・経緯を持つ人たち。それまでの環境や生前の思いを含めた当人の人生と、死に至った経緯と、死んでからの自身のこと残した人たちへの感情と、死者当人以外の客観的な現世の状況とで構成されている。
物語の設定上、やるせない話が多いのだが読後感は悪くない。寂寥感はものすごいけど一話の量が適度だし、読みたくないとは感じなかったので、物語の構成が秀逸なんだろうなと感じる。死者自身の視点と他者の視点のずれとか相違とかも見所かなあ。
死者は死んだときの状態でやってくるので、リアル系な絵柄ではないものの凄惨な事故死の場合は絵面的にきつい人がいるかも。

あずみきし
バンチコミックス / 新潮社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆
セキセイインコ 和久井健
2017年04月13日 (木) | 編集 |


一人の少女が謎の死を遂げる。他殺らしい。彼女の第一発見者たる少年は記憶をなくしていた。が、少年には少年自身の記憶の化身とつぶやく「メモリー」が寄り添っていた。彼の記憶に絡む事件と人物たちが次々と現れるのだが・・。

教室で教師がクラスに所属していた少女の死を告げる。他殺だという。主人公であろう少年がはその少女の第一発見者らしいのだが、記憶喪失となっていた。そして主人公には他者には見えない三日月をモチーフにしたような幻覚が見える。幻覚は少年に語りかけ、少年自身の記憶の化身のようなもので、自分のことはメモリーと呼べば良いと告げる。
記憶喪失、なのだが主人公は幻覚の存在もあってか記憶がないことへの焦りのようなものは一見見受けられない印象。どうも自身の記憶を探っていき幻覚の鍵穴に指す鍵を得ると記憶が取り戻せるらしい。少年の友人達、死んだ少女の知人?の少女、後見人らしき胡散臭い大人の男性、少年を監視する?謎の人物。調べていくうちに罪を犯し刑務所に入っているはずの父親はそこにはおらず・・など徐々に謎が出てくる過程で、超能力的な要素も入ってきて、少年の記憶は世界の存亡に関わるということが暗に匂ってくる。
文章で書くと大仰だが作品自体の雰囲気は坦々としている。情景描写が落ち着いているし少年の幻覚のフォルムがシュールだからだろうか。面白そうに見えるがそれを前面に出さずぼんやりとしたフィルターを通して見せているような印象を受ける不思議な作風。

<わくいけん>和久井健
ヤングマガジンコミックススペシャル全5巻 / 講談社
ジャンル:青年・SF / 好み度:★★★☆☆
地獄恋LOVE in the HELL 鈴丸れいじ
2017年04月02日 (日) | 編集 |


酔っ払って死亡した青年の魂は地獄へ。そして彼の担当の獄卒はドジっ娘気質の女子だったのだが。獄卒女子と助平男性の地獄ライフを描いたドタバタHコメディ。
酔っ払ってうっかり死んでしまい、まあ天国に行くかと当人は思っていたが気がついたら裸で地獄に送られていた、というはじまり。自分の上京を説明する獄卒の少女にいたずらする青年。そら地獄にもおちるわ(笑)
この話での地獄に送られた咎人は、地獄内での町で現世のように暮らす。衣食住に必要な物資はとある通貨と交換されるのだが、その通貨は咎人自身の苦行の量に見合った額が支払われる仕組み。地獄の苦しみでもって罪を購うのとセットで、担当の獄卒が咎人に苦しみを与える役割、ということらしい。苦しめば苦しむほど対価が支払われ罪も贖われていくのだが、主人公の担当であるヒロインはあまり有能なほうではなく、それゆえに主人公は逆に幸福な気持ちになることさえあり・・。
某撲殺天使みたいな展開とか、主人公が調子に乗って助平行動を起こしてえらいことになったりと、バカ系Hコメディと地獄世界のスプラッタコメディを足したかんじの内容。
しっかり作られている世界観で見せたい主題をブレさせずコメディ展開に徹しているところは好みだった。こんなバカシチュエーションよく思いつくなあと感心する(褒めてます)。
主人公が己の愚行であかん方向に行く展開はあまり好みではないがこちらは素直に面白かった。

鈴丸れいじ
アクションコミックス全3巻 / 双葉社
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★☆☆
重版出来! 松田奈緒子
2017年04月02日 (日) | 編集 |


出版社の漫画編集に入った新入社員の女性を主人公とした漫画出版業界物語。
いわゆるお仕事漫画、でいいのか。出版業界、の中の漫画編集部が舞台なので漫画読みにとっても興味津々の題材。ほぼ何も知らない新入社員の主人公の視点から描かれるので業界の、というか漫画が原稿から本になる流れが興味深かった。
主人公の経歴も体育会系というところがいろんな意味でミソなのだろう。力持ちなので書店で役に立つ、性格も良く漫画も好きな彼女が周囲に与える影響の描写が好ましい。
清々しい面もやるせない面もきちんと描いた社会人の話であり、かといって落ち込むばかりの話でもないバランスのとれた良作だと感じる。
余談だけど私もこの作品の題名で正しい読み方を知ったクチです。

松田奈緒子
ビッグコミックス / 小学館
ジャンル:青年・業界 / 好み度:★★★☆☆