読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年1月以降発行タイトル対象。
感想はブログにある記事以外にも、タイトル・作者順の目次のある本舎の漫画感想にも多数あります
宝石色の恋 西UKO
2017年03月17日 (金) | 編集 |


ルーレット・topaze・baby youなど17編の百合系スタイリッシュショートストーリー作品集。
ルーレット・mio post・パルファン・p.v・マネキン・777・baby you・demande・Au・topaze・二十分の無限・灯の情算・.925・恋女・アップ&ダウン・helter-skelter・the OL cafeを収録。
ある百合カップルのふれあいの話とか、名前も知らないけれど気になる相手とのやりとりとかとか、ある日のある場面を切り取った内容だったり、これから物語が始まる的な内容の数ページのショートストーリーがほとんど。その中に、ストーリー性の高い話とか、巻末にはお遊びで行われるOLカフェの企画の吟味といった毛色の変わったお話もあり。
一番の長編?はノーマル女子が百合女子に告白されてわりと強めにアプローチされる話。かな果たしてそれは恋に発展するのか、みたいなノーマル女子側の検証の話が興味深かった。あと百合属性の独り身女性と、他界した姉の娘を引き取って育てている女性の話が一番良かったかな。ある意味定番だけどほんわかとした初々しい二人が良い。
長身・痩身・美形揃いの登場人物と情景描写が特徴のスタイリッシュな作風。都会のイケてるお姉さんというのはかくあるという印象。

西UKO
楽園コミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:百合・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
不能犯 
2017年02月09日 (木) | 編集 |


相手に「思い込み」を強くさせることにより死に至らしめる能力を持つ男性・宇相吹正。彼は憎悪・嫉妬など様々な理由で殺人を依頼する人間に応え対象をその能力で殺し、彼の犯行を実証できない故に逮捕もできない容疑者「不能犯」である。
人間心理操作に長けている青年が、人間の愚かさを見るのが楽しみで依頼を受けているってかんじ。因殺された側はもちろん、依頼した側ももれなく破滅ルート直行ってのがミソ。主題的にも全体的にエグい展開が多いのだが、たいていは因果応報だったり自業自得だったりするので後味が悪い、というのは少ない方かなと。わりと凝ったどんでん返し展開が多かったようにも思う。一話完結形式なのも読みやすくて好み。
他者に対し殺意を覚えた人間の望みを叶える、ってのはサスペンスジャンルにはわりとよく見られる王道な設定だけど、味付け次第で興味をそそるか否か変わってくるもんだなあ。主人公の能力が、ファンタジーな設定寄りではなく、創作だとしてもそれなりにリアリティがあると感じた。しかし時々出てくる主人公のギャグのような所作は個人的にはちょい微妙(笑)味はあるんだけどね。
主人公を追いかける、主人公の能力が効かない?裏表の少ないまっすぐで若干熱血気質の刑事のキャラの配置や構成など、秀逸だと思う。

漫画:神崎裕也 原著:宮月新
ヤングジャンプコミックス / 集英社
ジャンル:青年・サスペンス / 好み度:★★★★☆
文学男子─BUNDAN─ いのうえさきこ
2017年02月06日 (月) | 編集 |


著名な文学作品、特に作品に登場する男性の登場人物についての紹介とかあれやこれやと言及したエッセイ漫画。
著者らしい斜め上というか斜め下というかな語り口で、なかなかに真理を突いたポイントで攻める内容。
紹介されている作品は、ああ、無情・嵐が丘・リア王・チャタレイ夫人の恋人・サロメ・車輪の下・はつ恋・星の王子さま・源氏物語・坊っちゃん・曽根崎心中・舞姫・スペードの女王・変身・女の一生・賢者の贈り物・グスコーブドリの伝記・あしながおじさん。欧州と日本の古典文学が多めかな。
文学作品の紹介の描き方や焦点を当てた男性登場人物についての語りは、まあ良くも悪くも身も蓋もなくてとても面白い。まあほんとに古典文学はあらすじだけ見るとほんと身も蓋もない展開が多いんだけどね;文学を読む時間がないけどどんな話か知りたい、という人にはいいかもしれない。関係にないけどひょっとして文男→BUNDAN→文壇と架けている?

いのうえさきこ
愛蔵版コミックス全1巻 / 集英社
ジャンル:エッセイ / 好み度:★★★★★
僕と先輩の鉄拳交際 おそら
2017年02月04日 (土) | 編集 |


ある特殊な嗜好というか異性の好みの条件を持つ日本有数の財閥の令嬢と彼女のお目付役として契約している男子を中心に描かれる奇妙で特殊な恋愛模様とそれにまつわる事件と令嬢周辺の騒動を描く物語。
クールというか達観したタイプの眼鏡男子が授業を受けていると、ゴスロリツインテールなお嬢様が教室に飛び込んで男子を連れて行こうとする。教室内は戸惑うが男子の言葉から、わりと日常茶飯の事柄のようだ、というはじまり。
女子は日本有数の財閥令嬢で男子はそのおもり役という関係。女子は天真爛漫に、無邪気に、好きになった異性について語るのだが、男子は神妙な面持ちでそれを聞く。というのも(ネタバレになるが)女子が好きになる相手はシリアルキラーなど精神異常系の人物のみなのだ。恋する相手=シリアルキラーを捜し当てるのはほぼ嗅覚のようなもので、お嬢様が片思いの相手に対して恋心を発露させると男子を含むお嬢様の周囲が対処にあたる、という構図のよう。
ちょっとオカルトっぽい?かつ少女漫画要素も絡めてのポップなノリで展開されるサスペンスっぽい内容だった。トラブルメーカー(とはちょっと違うが)お嬢様とデキるおもり役とどこかデキない隠密系男性とのトリオは面白かった。1巻に限っては星4なんだけど・・。

成田駿×おそら
ジーンコミックス全4巻 / メディアファクトリー
ジャンル:少女・サスペンス / 好み度:★★★☆☆
ぼくらのへんたい ふみふみこ
2017年01月05日 (木) | 編集 |


ネットで知り合った各々訳ありな女装男子3人の物語。
純粋に女子で在るのが自然の男子、母を慰めるため死んだ姉の身代わりとして女装する男子、好きな相手に望まれるまま女装する男子が、ネットを介して知り合いオフ会で出会う。一度は喧嘩別れのように解散するが3人は再会する。
女装男子、という主題から思春期の苦悩、ときめき、など明暗様々な感情を静謐に描く物語。各々悩みどころがありその隙間を埋めるように出会ったといった流れか。3人のやりとり、3人以外とのやりとりや人間関係を淡々としているがきっちりと人間模様を描いている。独特の静かな、せつないというかやるせない展開や心情描写が心を打つ。

ふみふみこ
リュウコミックス全10巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆
宝石の国 市川春子
2016年12月30日 (金) | 編集 |


遠い未来の地球。有機生命体は死滅した長い時間の後、無機物が結晶化し宝石の身体を持つ生命体が生まれた。宝石の身体を持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲いかかる月人に対抗するべく役割を分担し業務にいそしむ。
彼らの中で、月人と戦うことを望みつつなんの仕事も与えられなかったフォスは、上司から博物誌を編集する仕事を任される。役割が定まらなかった主人公が与えられた仕事に不満を感じていた中、自分とは違う理由で厄介者扱いされている人間と出会うことにより話が動いていく・・のかな。
童話に合いそうなデザイン性の高い絵柄と独特の世界観とか設定が特徴の著者。短編集だと読みやすいのだが、長編となるとその独自の設定を飲み込むのに少々時間がかかるかも。といっても一度把握すればその世界に引き込まれる。人物のやりとりはそんなに特異でもなくするりと入ってくる。肉体が鉱物であり、現実に見られる鉱物の特性が反映されている設定は興味深い。つまるところ宝石の擬人化?なのかの?
1巻ではだいたいの世界観と人物相関を兼ねた話が主なのでここからどう展開していくのか気になる構成。こういうSFだけど美しいものが主題のやつって往年の少女漫画系SFドラマを彷彿とさせる。

市川春子
アフタヌーンコミックス / 講談社
ジャンル:青年・SF / 好み度:★★★★☆
保健室の黒便り 夏本満
2016年11月28日 (月) | 編集 |


悩む人間から生まれその人間に憑く「ツカレ」が見える養護教諭の青年は、相棒・ツカレを喰う妖怪「黒猫」とともに生徒たちの「ツカレ」の原因たる悩みを解決する。
主人公の青年は養護教諭。同僚の女性教諭からある女子生徒に関して相談を受けることからはじまる。主人公は悩んだりストレスを抱えた人間から生まれる「ツカレ」が見える霊視体質的な能力があり、他人のツカレを見ると自分の気分が滅入る体質でもある。そんな彼には「ツカレ」を喰う妖怪のような猫?が傍らにおり、ツカレを喰ってくれるゆえに主人公自身はその猫を相棒と呼ぶ。
主人公が問題解決のために動くのだが、その行動はどこかもたもたしていて少々まどろっこしい。悩み多き思春期の生徒たちが主格としてそれを前面に出していくのか主人公というキャラを前面に出しているのかわかりづらいどっちつかずな印象。主人公が周囲の人間の悩みを解決する理由は、自身が他者のツカレを見るのが不快だから、自身に憑いている?妖怪猫もツカレを喰ってくれるから共存関係を築いている・・と、なんとなく茫洋としているというかなんというか。自分が穏やかに過ごすことが第一で、そのために相談を受けるというかんじに見える。物語を展開するには少々キャラが弱い気がしないでもない。ある意味、この曖昧でごった煮な構成は、リアルな日常の流れなのかもしれないが。なんとなくレーベルカラーに沿っているようにも思える。
どろっとした半固形物の飲み込みづらさを彷彿とさせる内容だった。好みはともかく一辺倒でない著者の作風は出ていると思う。

<なつもとみちる>夏本満
ビームコミックス / エンターブレイン
ジャンル:青年・青春・オカルト / 好み度:★★★☆☆
ふしぎの国のバード 佐々大河
2016年11月26日 (土) | 編集 |


明治初頭・東京から蝦夷までの旅を通して文明開化により失われつつある日本の文化・風俗を記録するイギリス人女性イザベラ・バードの物語。
イギリス人女性の目を通して描かれる古き良き日本の文化、が主題のよう。外国人の女性が少人数で旅をするというのはなかなかに大変そう、と思ったが、その大変さを包み隠さずというかリアルに描かれている模様。
文化・風俗の興味深く読める部分と、リアルで難儀な部分をそのまま描くという構成には好感が持てる。レーベルらしい実直な絵柄も作風や主題と合っていると感じる。通訳の男性と主人公の女性とのやりとりも見所の1つなのだろうか。

佐々大河
ビームコミックスハルタ  / エンターブレイン
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆