読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年~2016年発行タイトル対象。
2010年以前発行分の感想は本舎の漫画感想に、2017年以降分は漫画感想2017~にあります。
恋愛視角化現象 秋★枝
2017年09月20日 (水) | 編集 |


思春期に恋をすると角が生える世界を舞台にした恋愛人間ドラマオムニバス。
内容的にはよく見られる恋愛物語、なのだが一捻り加えた設定として、恋愛感情が角という形で視覚化されるという設定がついてくる。1組のカップルの話でなく、様々なカップルを描いたオムニバス形式。
本来見えない・隠したい気持ちが隠せない、逆に無いものを在ると見せられるという妙が活かされる設定が上手い。
自覚するほどにボーイフレンドに恋をしているのに角が出ない女子、クラスメイトに恋をしたが友人に先を越されてしまった話など。美男子と地味女子のすれ違いな恋愛模様の話が凝っていて、意地悪美人と、ちょい強面でモテにくいタイプだが客観的に他者を分析する男子が絡み、後味が悪いと見せかけてどんでん返しが待っている。どの話も見応えがあるし、人物の忌憚ない心情が印象に残る話ばかりだった。

秋★枝
ヤングジャンプコミックスウルトラ全2巻 / 集英社
ジャンル:青年・恋愛・ドラマ / 好み度:★★★★★
田中くんはいつもけだるげ ウダノゾミ
2017年08月30日 (水) | 編集 |


常に気怠げで低空飛行なテンションの田中くんと彼が放っておけず世話を焼く無口な太田くんをはじめとした学園4コマコメディ。
主人公(のはず)の田中くんは、常に低空飛行なテンション・話す声はボソボソ・隙あらばぼーっとしたり眠ったりといった気怠げキャラ。教室移動すら億劫がる田中くんを放っておけずなにかと世話を焼く太田くんは、背が高く三白眼?ゆえに周囲から怖い人間に見られがちだが、中身は面倒見のよい気質で家事・勉強その他そつなくこなし無類のスイーツ好きというキャラ。
一見凸凹なコンビに加え、クラスメイトの良くも悪くも思春期のおとこのこ、な男子3人組や田中くんの気怠げさに感銘を受け師匠と仰ぐ小さき生き物な女子・その女子と仲良しでヤンキーキャラになりきれていない可愛いモノ好きな女子・元地味女子で努力の末現在はアイドルな立ち位置の優しい気質で田中くんに片思いの女子・・・など次々と個性豊かで好ましいキャラが登場する。
どの登場人物も個性のベクトルは違うが微笑ましく嫌味のないキャラ設定でどのエピソードもほっこりするものばかり。主人公のゆっくりさに、太田くんのスペックの高さに女子達の可愛らしさに癒やされまする。
前作同様、ある意味主人公が周囲を(というか主に太田くんを)振り回す構図に見えなくもないが、面倒なことを回避するための計算高さはあるが、他人に世話になっている場合はそれを自覚しつつ感謝の意を明確にしているところが好ましい。
また主人公の面倒を見る太田くんも、嫌々ではなく、ほんと息をするようにやってるとこが良いな。顔?雰囲気?のせいで損してるとこもあるけどさほど気にしないとことか難儀な場面でもクールに寄りよい方向に努力するとこが好きだなあ。登場人物にあまり頓着しないほうだけど、太田くんに関しては幸せになって欲しい・・と切実に思ってしまう(笑)
この読んでて感じる心地よさはなんのかのと独りよがりなキャラがいないからなのかも。ほんわかした気持ちに成りたい人にはお勧めの作品。

ウダノゾミ
ガンガンコミックスオンライン / スクウェアエニックス
ジャンル:4コマ・学園・コメディ / 好み度:★★★★★
海月と私 麻生みこと
2017年08月20日 (日) | 編集 |


海が見える民宿の経営者でやもめ男に、仲居求人を見てやってきた謎の美女の話。
父が残した民宿を営んでいたが、先代から勤めていた仲居さんが亡くなり、廃業を視野に入れた男性。とはいえ予約の客がさばけるまでは営業することにしたので廃業までの間の仲居さんを募集する。その募集にやってきたのは若い美人の女性だった。
なぜこんな民宿の募集に、と思わざるを得ない美人にいろいろと勘ぐってしまう主人公。だがほぼ強引というか押しかけ女房ならぬ押しかけ仲居のように、美女は住み込みで働く事になる。
愛想がよくいろんなお客に対しても柔軟に対応、だがたまに突っ込んだ行動もする。客観的に見て有能でもっと良い職場もあるだろうにと思う人物だが、訳あり・曲者の雰囲気もある。主人公は迷いに迷って腹をくくる。
主人公の亡き父親との確執や過去、泊まり客のドラマ、同業の大手旅館の話などを重ねていく。濃いドラマ性を出さず1つのエピソードがそれなりに落ち着く分量がちょうど良い。しっとりと心に染みる雰囲気と展開が上手い。出来事の描写は淡々としているが主人公のモノローグが少々オーバーな演出なのもメリハリがあって良い。

麻生みこと
アフタヌーンコミックス全4巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆
ラフナス 白井弓子
2017年08月19日 (土) | 編集 |


反重力物質で覆われた星を舞台に、ラフナに満ちた外で暮らすには制約が多い先祖返りの男性と身の内のラフナが多すぎて他者との交流が慎重にならざるを得ない女性の話。
舞台は架空の他の星。ラフナと呼ばれる反重力物質が星を覆い、ラフナが生き物に取り込まれると浮力が生じる。バクテリアを含んだ岩がラフナを取り込み岩が水のように流れを形成する岩河が随所に存在する。
その岩河の流れを調査する観測士の女性と、探鉱に勤める青年の出会いから物語は始まる。仕事で青年の街にやってきた観測士の女性は内在する力が強すぎて周囲の影響力が半端なくあまり密接に人と関わりにくい体質、それゆえに他者では即死の河の調査もこなせる。一方で主人公の青年は先祖返り、つまり先天的に地上に満ちているラフナが毒になるので食事も呼吸も様々な制限がある体質、そのかわり炭鉱での仕事では面倒な手順を踏まずに仕事が進められる。そんな真逆の二人の交流、そして街の近くにある岩河の氾濫の懸念が物語の肝のよう。
ラフナの細々とした設定を含めた惑星の舞台設定に、ヒロインと主人公各々の過去と日常の中での立ち位置とか暮らしぶり、物語の肝の河の氾濫というすべての要素と構成と物語展開が無駄なく繋がっているところがすごい。緊迫した状況でない人々の暮らしの情景などもSF設定なのに等身大というか身近に感じるというかなな描写が絶妙。
主要登場人物が対峙するのが災害だからか他作品に比べシリアスな雰囲気が少なく重厚なドラマが苦手な人にも読みやすいかもしれない。

白井弓子
アクションコミックス / 双葉社
ジャンル:青年・SF・ドラマ / 好み度:★★★★★
土曜ランチ!
2017年08月19日 (土) | 編集 |


毎週土曜日のお昼に行われる、包丁を使わない父と娘二人+たまに娘の友達によるランチクッキングを描いた4コマ家族コメディ。
父母と幼い双子の娘2人の4人家族。多忙だった父の仕事スタイルに少し余裕が出来、また料理上手の母が毎週土曜日に祖母の料理教室を手伝うことになったことに伴い、土曜日のお昼だけは父親と娘二人で作ることになるという背景。
父親が料理は素人で包丁の使い方がおぼつかない、ということでキッチンはさみで切れる具材を使ったカンタン料理が次々と出てくる。当初は卵かけご飯など火も使わない手抜き料理から始まるが、どのエピソードでもアイディアを活かした一工夫加えたレシピが並ぶ。わいわいと父娘で試行錯誤を重ね楽しく作り食べた後、料理教室の祖母と母に作った画像を送り彼女らがそのクオリティに唸る、というオチも多い。カンタンに作れるというのがコンセプトなのでB級・またはジャンクぽいメニューが多いが週一だし問題なし。
双子の娘は性格も食の好みとこだわりも違うので話の幅が出ているし、彼女らの探究心は素晴らしいと感じる。また友人でレンジを駆使した調理を得意とする双子の友達もたまに参戦しレシピの幅が広がる。常食にするには向かないが時間がなくてさらっと食べたいときにはいいレシピがそろっている。
設定がきっちりしてよく動くキャラクターとほのぼのと明るいノリ、親子のやりとりがいろんな意味で面白く、料理の興味がなくとも楽しめると思う。おすすめ。

イシデ電
バンブーコミックス 4コマセレクション全2巻 / 竹書房
ジャンル:4コマ・料理・家族コメディ / 好み度:★★★★★
どーにゃつ コザキ・ユースケ
2017年08月15日 (火) | 編集 |


荒廃した人の居ない街には、どーにゃつという猫のような不思議な生き物たちが生きている。彼らの日常を描くゆる系SF冒険活劇。
舞台は荒廃した街。建物は崩れ人っ子ひとり居ない。そんな場所に1匹の生き物が。猫のようだが身体がドーナツのよう。自分が何者かなぜこの場所にいるのか・・記憶がなくさまよっていたところ、同族のような仲間と出会う。
窮鼠猫を噛む、ではないが、主人公達には天敵がいる。それらはネズミのような生き物で軍隊のようなコミュニティを築き主人公達を捕縛及び捕食する。原始時代のマンモスVS人間みたいなかんじ。
可愛い造形のキャラたちによる荒廃した都市を舞台にしたサバイバルものといっていいのか。知能が高い者もいれば猫本能前回の者もおり、個性がきっちり別れているだけに彼らの生活描写はちょっと楽しい。ほのぼのな日常っぽさもあれば弱肉強食的なハラハラ感もある。シビアさとゆるさの同居という面白い構成。
そして一巻終わりくらいにガチなSF要素が投入されかなり驚く。ゆるいキャラが主人公だが内容はけっこう骨太でカルトなSFなのだろうか。

コザキ・ユースケ
ヤングガンガンコミックスSUPER / スクウェアエニックス
ジャンル:青年・SF / 好み度:★★★★☆
惑星9の休日 町田洋
2017年08月14日 (月) | 編集 |
惑星9の休日
町田洋
2013-8



辺境の小さな星・惑星9に住む人々の何気ない日常とその中で起こるドラマを描いたSFオムニバス。
惑星9の休日は、ある天体現象により街も人間も凍り付いた美少女に思いを馳せる男の話。男に片想いの少女は件の美少女と少なからぬ関係があるとか、凍った人間に干渉すると起こる現象などの設定が良い。この表題作が一番好きかな。
UTOPIAは幻の映画フィルムに纏わる事件の話。事件ものとしての構成とラストシーンが良い。映画でもなんでもどこかしら良いと思えるところはある。管理人のおいちゃん好き。
衛星の夜は、月が惑星を離れる日に月に行ったことのある老人の体験談を綴る話。出会った原住生命体?はヴィーマーを思い出すなあ。せつなくてうるっとくる話だった。この話が一番印象に残った。
ほかは玉虫色の男・それはどこかへ行った・とある散歩者の夢想・午後二時横断歩道の上で・灯が収録されている。
簡素で趣のある絵柄は主題にとてもあっていて雰囲気が良い。じんわりと心に入ってくる余韻を含め話の組み立て方が絶妙。どことなく星新一が好きな人には絶賛おすすめしたいタイトル。

町田洋 / 祥伝社全1巻
ジャンル:青年・SF・ドラマ / 好み度:★★★★★
王国の子 びっけ
2017年08月12日 (土) | 編集 |


ある王国を舞台にした王位継承者とその影武者を巡る人間ドラマ。
ある王国の王室には、王位継承者には影武者を持つしきたりがある。影武者がいかなる者かというのは、冒頭の、遠征の際の父王の負傷に伴い影武者が先陣に立ち事なきを得たというエピソードで伝える。
王は戦の傷から先が長くないことを知り、王子の誕生とともに王位継承権を剥奪した2人の王女の剥奪していた王位継承権を復活させたことに伴い、王子を含め3人の影武者が作られることになる。
第二王女の影武者は、彼女が親しかった青年が探すことになり、彼は芝居小屋の役者をしていた少年を見つける。少年は気が進まないが飴と鞭で断れる状況ではなく影武者を勤めることになる。元役者ということもあり語学も堪能で影武者としてはそつなくこなす。王の没後まだ少年の王子が王を継ぐことになるが、様々な策謀も始まっていた。
先王と過去の王妃達と王の影武者、第二王女と世話役と影武者の青年、王妃、第一王女、王子とその影武者と代々王に仕えるもう一つの存在など。登場人物は多いがその立ち位置と相関がきちんと組まれているし、どの登場人物の描写にも手を抜いていないおかげで、混乱することなく物語に没頭できる。少女漫画というとこういう舞台でも恋愛方面に行くパターンが多いがこちらは王位継承を巡る人間ドラマに重きを置いているのかかなり骨太な構成になっている。
あと影武者の役割を終えた者の待遇の事実は、主人公がちらりと懸念したことそのままであるがこのことも物語の大事な鍵の1つなのだろう。憎悪、復讐、罠、欲望、決意・・・様々な思いが交錯する秀逸な人間ドラマを予感させる。

びっけ
KCx(ITANコミックス) / 講談社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★☆