読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年~2016年発行タイトル対象。
2010年以前発行分の感想は本舎の漫画感想に、2017年以降分は漫画感想2017~にあります。
ラフナス 白井弓子
2017年08月19日 (土) | 編集 |


反重力物質で覆われた星を舞台に、ラフナに満ちた外で暮らすには制約が多い先祖返りの男性と身の内のラフナが多すぎて他者との交流が慎重にならざるを得ない女性の話。
舞台は架空の他の星。ラフナと呼ばれる反重力物質が星を覆い、ラフナが生き物に取り込まれると浮力が生じる。バクテリアを含んだ岩がラフナを取り込み岩が水のように流れを形成する岩河が随所に存在する。
その岩河の流れを調査する観測士の女性と、探鉱に勤める青年の出会いから物語は始まる。仕事で青年の街にやってきた観測士の女性は内在する力が強すぎて周囲の影響力が半端なくあまり密接に人と関わりにくい体質、それゆえに他者では即死の河の調査もこなせる。一方で主人公の青年は先祖返り、つまり先天的に地上に満ちているラフナが毒になるので食事も呼吸も様々な制限がある体質、そのかわり炭鉱での仕事では面倒な手順を踏まずに仕事が進められる。そんな真逆の二人の交流、そして街の近くにある岩河の氾濫の懸念が物語の肝のよう。
ラフナの細々とした設定を含めた惑星の舞台設定に、ヒロインと主人公各々の過去と日常の中での立ち位置とか暮らしぶり、物語の肝の河の氾濫というすべての要素と構成と物語展開が無駄なく繋がっているところがすごい。緊迫した状況でない人々の暮らしの情景などもSF設定なのに等身大というか身近に感じるというかなな描写が絶妙。
主要登場人物が対峙するのが災害だからか他作品に比べシリアスな雰囲気が少なく重厚なドラマが苦手な人にも読みやすいかもしれない。

白井弓子
アクションコミックス / 双葉社
ジャンル:青年・SF・ドラマ / 好み度:★★★★★
運命の女の子 ヤマシタトモコ
2017年08月19日 (土) | 編集 |


無敵・きみはスター・不呪姫と檻の塔を収録した短編集。サスペンスホラー・苦くも静謐な青春の記憶・SF人間ドラマと「運命の女の子」をベクトルの違う解釈・設定で描く。
「無敵」は大量殺人犯の少女と女性刑事の取り調べ室での対峙を描いた話。怖れもなく友人・ホームレス・家族・知人の青年を殺していった少女と取り調べる女性刑事の会話と並行して少女の所業が再現ドラマのように描かれていく構成。事実か回想か刑事の読み上げる調書の内容を単に描いたものか・・まあ事実なのだろう。落ち着き払い淡々と問いに対し否定しつづけ端々で唐突な行動をするサイコパスっぽい少女の仕草にある種のおびえを感じる刑事。純文学系サスペンスの短編を見るような内容であり時事を元ネタに真逆の設定を施した話でもある模様。最もインパクトがあった話。
きみはスターは、高校の英語劇部の男女3人と卒業後の顛末を描いた話。平凡な容姿と聡明さと高い演技力を持つ女子、その女子に好意を持つ美形男子、美人で人当たりのよい女子、英語劇部の3人の高校生活の一角を回想という形で描く。三角関係・・になるんだろうか、一捻り有りちょっと懐かしいテイストの少女漫画を思い出す叙情的な雰囲気が印象的な構成。相手の自分に向ける感情の理由、自分が相手に向ける感情の容。同じ言葉で言い表される感情なのに合わすことができない。結末が一番心に残る話だった。
不呪姫と檻の塔は、試練の後に特殊な能力を得る「呪い」が一般化した現代社会で唯一「呪い」を持たない少女と少女を慕う男子と「呪い」を授与する役割の男性の話、かな。「呪い」の設定に具体的な例がなく漠然としていて不明瞭ではあるが、ともかく学生のヒロインはそれを持たないためにハブられている。だが味方の男子もいる。そんな中、人々に「呪い」を授与する役割の男性が反乱を起こす、という流れ。命に意味はあるのか、他が持つものを持たない自分に意味はあるのか。登場人物各々が各々の存在意義と望みを持って行動しそれが相互干渉して物語が組み上がるというかんじ。一番ストーリー性がある話だったかな。面白かった。

ヤマシタトモコ
アフタヌーンKC全1巻 / 講談社
ジャンル:青年・青春・ドラマ・サスペンス / 好み度:★★★★★
土曜ランチ!
2017年08月19日 (土) | 編集 |


毎週土曜日のお昼に行われる、包丁を使わない父と娘二人+たまに娘の友達によるランチクッキングを描いた4コマ家族コメディ。
父母と幼い双子の娘2人の4人家族。多忙だった父の仕事スタイルに少し余裕が出来、また料理上手の母が毎週土曜日に祖母の料理教室を手伝うことになったことに伴い、土曜日のお昼だけは父親と娘二人で作ることになるという背景。
父親が料理は素人で包丁の使い方がおぼつかない、ということでキッチンはさみで切れる具材を使ったカンタン料理が次々と出てくる。当初は卵かけご飯など火も使わない手抜き料理から始まるが、どのエピソードでもアイディアを活かした一工夫加えたレシピが並ぶ。わいわいと父娘で試行錯誤を重ね楽しく作り食べた後、料理教室の祖母と母に作った画像を送り彼女らがそのクオリティに唸る、というオチも多い。カンタンに作れるというのがコンセプトなのでB級・またはジャンクぽいメニューが多いが週一だし問題なし。
双子の娘は性格も食の好みとこだわりも違うので話の幅が出ているし、彼女らの探究心は素晴らしいと感じる。また友人でレンジを駆使した調理を得意とする双子の友達もたまに参戦しレシピの幅が広がる。常食にするには向かないが時間がなくてさらっと食べたいときにはいいレシピがそろっている。
設定がきっちりしてよく動くキャラクターとほのぼのと明るいノリ、親子のやりとりがいろんな意味で面白く、料理の興味がなくとも楽しめると思う。おすすめ。

イシデ電
バンブーコミックス 4コマセレクション全2巻 / 竹書房
ジャンル:4コマ・料理・家族コメディ / 好み度:★★★★★
金の彼女 銀の彼女
2017年08月19日 (土) | 編集 |


猪突猛進な恋に生きる男子が恋する相手・財閥の深窓の令嬢は、願いが叶うという泉の女神により、金の髪の彼女と銀の髪の彼女のふたりに別れてしまう。金は実家へ、銀は男子の家に行くことになるが・・。性格も二分したお嬢様たちと男子と周辺の面々によるドタバタ狂想曲。
主人公の男子が告白しようとしている相手は、高嶺の花最高峰・財閥の深窓の令嬢。高き塔に居るお姫様に会うがごとく高い建物を登り切りお嬢様に告白するも彼女の取り巻きに排除されてしまう。その後、山の中の人気のない通称叫びの泉にて管を巻いていた主人公は、後に来たお嬢様の姿を見て隠れる。彼女は自分の置かれた窮屈な状況、そしてあと一歩根性を見せられなかった主人公の愚痴を鬱憤を晴らすために叫んでいた。
そしてひょんなことからお嬢様は泉に落ちると木こりのおとぎ話のごとく女神が現れ、お嬢様は金と銀に別れ、男子に託される。その泉は願いが叶う泉という言い伝えがあったがほんとに出てきた、みたいな。
で、金のお嬢様は表の顔・清楚で周囲の環境に従順なキャラ、銀のお嬢様は裏の顔・泉で叫ぶほどに置かれた環境に不満を抱いていた勝ち気キャラと、性格も二分していた。なんのかんのとあって金の彼女は実家に帰り、銀の彼女は男子といることになる。
二人に別れたヒロインの設定、誰もが行わなかったお嬢様への告白を主人公が行ったか、など整合性があるというか設定と話の展開がきちんと繋がっているところが好印象。
主人公のキャラは他作品と同じく、己の願望や希望に素直、自分のやりたいこと・思ったことを高らかに宣言しつつアグレッシブに行動していく。良くも悪くも痛快さがある。ヒロインが同じ人間なのにキャラが違う、というのは題材として興味深い。
そして物語のノリも脇の登場人物ほとんどがテンションが高く個性が強くよく動く。次から次へと繰り出されるエピソードを楽しめる内容かと。

赤衣丸歩郎
月刊少年マガジンコミックス / 講談社
ジャンル:少年・ラブコメ / 好み度:★★★☆☆