読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年~2016年発行タイトル対象。
2010年以前発行分の感想は本舎の漫画感想に、2017年以降分は漫画感想2017~にあります。
青春のアフター 緑のルーペ
2017年08月20日 (日) | 編集 |


片想いで告白したが手ひどくフラれた直後文字通り目の前で消えてしまった少女が16年後に当時の姿のまま現れる。少女を忘れきれないまま16年生きた青年だが同時に同棲する彼女もいる。少女と青年とその彼女の奇妙な同居生活がはじまるが・・。

高校生のとき。主人公と少女はゲームを通して傍目からつきあっていると勘違いされるほど交流があった。事実主人公は少女が好きなのだが、少女のほうは他の快活な男子のことが好きだったのだ。それを知った主人公はそれでも少女に告白をし手ひどくフラれる。そしてその直後少女は文字通り目の前で消えてしまい行方不明となる。
それから16年たち、主人公は社会人になり出来同棲する彼女もいる。ただ今はだれも居ない少女の家の管理などをしており完全に縁を切っていないというかな状態。そして彼女と同棲を機に気持ちを切り替えようとした矢先、目の前に件の少女が当時の姿のまま現れる・・という身も蓋もない展開に。
青春の恋心が風化する前に物理的に蘇り、現在もひとりならいいんだけど同棲するほど親密な彼女もおりで、少女は身内がいないから彼女と同棲する住処に少女も住むことになるという・・。ゲームという共通の趣味があるなどさほど衝突もないが・・・。
少女のタイムスリップの妙、ADVゲームの選択肢のごとくどの選択をとるのか、生々しい人間心理描写と人間模様が描かれていくのだろう。泣き笑う登場人物の絵面にはなかなかに心を締め付けられる。苦い、どこまでも苦い。アフターと書いて後始末と意味づけるのか。良い題名。
最初のタイムスリップで再会したときの少女の台詞とそれに答える主人公の台詞の残酷さがいろんな意味でインパクトが強かった。終始こんな展開が続くのか。登場人物の行動も心理も、嫌悪は全くないが汲み取れないことばかりで多分読み進めても共感は覚えられないだろう。だが読みたくない類ではなく、未知の世界を知りたい欲求という意味で興味深い作品だった。

緑のルーペ
アクションコミックス / 双葉社
ジャンル:青年・恋愛ドラマ / 好み度:★★★☆☆
住職系女子 竹内七生
2017年08月12日 (土) | 編集 |


家を出た父の代わりに実家の寺の副住職を務める女性僧侶をはじめとし他の寺院の僧侶、彼女の家族、檀家の人たちなどの人間模様を描いた寺と仏と人生に纏わるご近所+家族ドラマ。
主人公は女性僧侶。家庭を持つ身の僧侶にも関わらず女を作り家を出た父親の代わりに実家の寺を継ぐべく副住職とつとめる女性。母は既に死亡、家族は住職の祖父、父とその浮気相手との間に生まれた少年、つまり半分血の繋がった弟の二人。あと寺関係の親戚もわりと親しい間柄。弟の実母は弟を置いてほとんど連絡なし、父も行方知れずという状況。
複雑な家庭内のエピソード、檀家の故人と残った家族の話とか堕胎した女子高生の話とか。人生や生命、生と死など、ありふれた、でも生きる上の命題みたいなテーマが、ある時は一般人の視点で、また僧侶というか仏の道の視点で丁寧に描かれていく。
等身大の人間ドラマ、世知辛さやままならなさ、優しさやいたわりなど様々な人間の感情も行いも関係性も、等身大というか押しつけがましくなくさらりと描かれているところに好感が持てる。お盆やお地蔵様の由来、仏陀の教えのエピソードなど仏教関連の知識も無理なく入れていて勉強になる。
人間描写というかドラマ展開はわりと優しめ。衝突や行き違いはあるけどわりとあっさり落ち着いた決着がつくので読みやすかった。1巻で印象的だったのは虐待を受けていたにも関わらず母の味方である弟の心理。あるあるだよなあ・・。
えらく仏教関連の描写が自然体だなと思ったら著者の実家がお寺だそうで。なるほど。

竹内七生
BE LOVE KC全6巻 / 講談社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
三等星のスピカ イシノアヤ
2017年08月06日 (日) | 編集 |


のっぽの天然キャッチャーとチビの頭脳派ピッチャーのふたりの野球少年・マネージャー・カメラ女子・おばあちゃん・・海沿いののどかな街を舞台に描かれる青春群像劇。
野球少年が主人公、なのだがスポーツものとも言えず恋愛重視とも言えず、野球少年を軸にのどかな情景と登場人物の描写が連なっていく。各々のキャラに焦点を当てた後に繋がりをつけていく構成かな。ちょっとザワさんを思い出す雰囲気。こちらはそれにドラマ性を加味した内容というかんじ。
女性漫画特有の情緒があるカメラワークというか間というかが絶妙。高校生の学校生活や日常風景、その中にある彼らの心情描写は秀逸。野球部の活動がなんとなく軸になっているので散文的な構成でもとっちらかった印象はない。
うーんこのタイプの物語は感想が書きにくいね;読んでみて感じてくれというしか能がないっす;

イシノアヤ
KissコミックスDX全3巻 / 講談社
ジャンル:女性・青春 / 好み度:★★★★☆
すみれファンファーレ 松島直子
2017年08月06日 (日) | 編集 |


母子家庭で育つ優しく思いやりのある少女すみれの日常。
主人公は母子家庭の小学4年生の少女。両親は離婚しており、父に会うために一人で新幹線に乗り広島へ向かっている。久々に父に会う機会があるも、父が仕事で抜けられず、父の再婚相手の女性が迎えにくる・・というはじまり。
ドラマというより、主人公の家庭環境の紹介を兼ねたエピソードから主人公の気質・周囲の状況を描きつつ、主人公の日常を描く構成のよう。
主人公はいわゆるよく出来た娘で、家計を支える母や友人、父や父の再婚相手に至るまで、相手にとってよりよい方へ行くよう努めるタイプ。作風というか話の雰囲気は、ほっこりとゆるやか、健気に頑張る主人公に温かな気持ちがわき上がる。
日常の描写や人物の配置など、設定やちょっとした所作などの作り込みが秀逸で、描く内容というか主題がシンプルなだけに映えている印象。設定の割に主人公の視点が広く、読み応えもあるように思う。絵柄もシンプルで牧歌的な雰囲気なのも良い。

松島直子
イッキコミックス / 小学館
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
さらば、やさしいゆうづる 有永イネ
2017年08月06日 (日) | 編集 |


ひとつめは木曜になく・さらば、やさしいゆうづる・なき顔の君へ・はたらくおばけを収録した著者初の短編集。
ひとつめは木曜になくは、毎週木曜日に人の苦悩などマイナス感情が一つ目の化け物として見えてしまう男子二人の話。他者の苦悩の原因を取り除こうと行動を起こす子と、起こさない子。物語の主格は起こさない子のほうで、ある日その子は化け物が見えなくなり、友人の方は変わらず見えたままという状況になる。見えたままの友人に対して、化け物が憑いた人間に対して、いろんな感情がないまぜになる心情描写が見所。
さらば、やさしいゆうづるは、母を早くに亡くしたため、食事の時のタブーとか下着の付け方といった社会通念というか一般常識みたいなことを知らずに成長した女子の話。彼氏に指摘されコンプレックスに苛まれる一方、昔から何かと面倒を見てくれた年上の幼馴染みの青年という身近な人間もいる。その青年に自分が一番欲しいものが出てくる箱を渡される。話の最後に青年の主人公に対する感情というか思いというかが暗喩されているところは絶妙。
なき顔の君へは、ある理由から双子の兄弟を厭い顔がなくなればいいと願った女子は、弟の顔がのっぺらぼうに見えてしまう。他者には普通なので自分だけという状況に戸惑うが・・。端から見たらやつ当たりのなにものでもないし指摘されても止まらない気持ちもわかる。一方で嫌われているとわかっていても姉に優しくしたい弟にもやるせない気持ちがわく。
はたらくおばけは、死後幽霊となった男子は、幽霊は会社員のごとく生者に対し働きかけをするものだと知る。ある種の人間ドラマであり、主人公と確執があったリアリストな父親との話がメインのよう。主人公の死因、主人公の幽霊会社員としての上司?の女性の過去とか切なすぎるだろう・・。
どの話も、世界が主人公にあまり優しくなく、劇的に変われるものでもない状況で各々がそれなりの解決とか折り合いとかをつける話なのかなあと。上手く言葉にできないけど::主題の肝だと思われる、良くも悪くも飾らない心情の吐露の描写が秀逸。

有永イネ
KCx(ITANコミックス)全1巻 / 講談社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
ストラヴァガンツァ-異彩の姫- 冨明仁
2017年07月21日 (金) | 編集 |


公式の場には常にフルフェイスの仮面をつける女王は、偽名を使い仮面を外し城下に降り野を森を駆けるお転婆姫。彼女の日常と戦いを描いたファンタジー活劇絵巻。
艶やかな女に収録された短編に登場した女王ビビアンの連載版。短編の時はコメディ一色だったがこちらの1巻目は短編のようなお気楽コメディ、危険な活劇、遠山の金さんぽいエピソード、と多彩。
通常、女王として公衆に出るときはフルフェイスの仮面をつけているが、お忍びで城下に降りて町に遊びに行ったりするときは素顔を晒しているよう。もちろん偽名を使って身分を隠しているが。
冒頭のエピソードでは、森に棲む凶暴な肉食の獣と遭遇、トカゲ種族の人間に助けられ倒すエピソードが展開されるが、その後は臣下に本物は誰だゲームを行ったり、臣民のいる場でポカをやったり身近に感じる交流をしたり、酒場で一暴れしたりとコメディで気楽な明るいエピソードが描かれている。女王様、情が深くて明るい気質でちょっと脳筋っぽい(笑)
バトル描写、状況描写など1コマ1コマ丁寧に描かれていて見応えがある。著者らしい健康的なというかグラマラス系お色気シチュエーションもあいかわらず秀逸。
2巻以降は1巻の伏線よろしくシリアスかつハードな展開になっていく模様。それにしても女王がフルフェイス仮面をつけている理由って今後出てくるのかな。ちょっと気になる。

冨明仁
ビームコミックスハルタ / エンターブレイン
ジャンル:青年・ファンタジー / 好み度:★★★★☆
しくしくしくし るい・たまち
2017年07月12日 (水) | 編集 |


主人公は童サイズのお天気の神様の少女つくし。狐のお面に化身した稲荷神のイナリとともに各地を巡り、先々で起こった出来事を描いた4コマ漫画。
八百神が顕現してて人間とも素で交流できるファンタジー世界観。主人公のつくしは天気神。泣くと大雨、起こると雷、笑うと晴天と感情の起伏によって周囲の天気が変化するという設定で、一所におらずいろんな土地を巡っている模様。
主人公には同行者として稲荷の神がおり、道中は掛け合い漫才のようなやりとりが展開される。ちなみに狐のお面に化身し主人公の頭に収まっているという絵面。
主人公は先々では地元民に雨乞いのため泣かせられたり魔法少女な巫女に絡まれたり幽霊とあったり野放図なこどもの世話をしたりと、なかなかに難儀な目にあっているがなんかほっこりするんだよなあ。
絵がとにかく可愛くて表情が豊かで好み。出オチっぽい話かなと思ったが後々出てくる設定とかエピソードになかなか幅があって面白かった。

るい・たまち
角川コミックスエース・エクストラ / 角川書店
ジャンル:4コマ・ファンタジー / 好み度:★★★★☆
白い街の夜たち
2017年07月09日 (日) | 編集 |


打ち込めるものも自分の居場所も迷走している美術系専門に通う女性は、ひょんなことからトルコ文化に触れ変わっていく青春系ドラマストーリー。
主人公の女性が占い師だと思ってついていったら監禁され身の危険を感じる、というところから始まる。蓋を開けてみれば、占い師と思った人物はトルコ料理店の店主で雇い人を直感で連れてくるというのが真相。その直感の理由は、主人公がトルコの装飾品をつけていたから。それらを説明してくれたのはその店でダンスを踊る女性店員だった。
主人公はその時点で、自分の立ち位置というか居場所が希薄というのもあり、彼らに押されてその店のウェイトレスのバイトをすることになり、トルコの食や文化に触れ傾倒していく。また主人公は美術系専門生でありトルコ文化の刺激が学業にもよい影響を与えていくって展開のよう。
主人公が持つペンダントにまつわる人間関係の過去、主人公にとってやっかいな人間、好ましい人間、様々な人間模様を絡めて等身大なその世代の心情がじっくりと描かれている。話の切り口というか見せ方が興味深い作品。

市川ラク
ビームコミックス / エンターブレイン
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆