読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年1月以降発行タイトル対象。
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事件記者トトコ! 丸山薫
2017年03月17日 (金) | 編集 |


仕事環境も仕事道具も良好なのにまともなスクープがとれない食いしん坊で天性の残念気質の女性記者トトコが織りなすレトロドタバタコメディ。
ちょっとレトロな時代が舞台。主人公の眼鏡の女性は新米新聞記者。スクープを目指して同僚の男性とともに事件現場に意気揚々と向かうが天性の残念ぷりにより失敗、というパターンが多いドタバタもの。
主人公の失敗談が基軸のスラップスティックコメディなのだが、当の本人は失敗に対しても、自身の風貌や行動を他者に残念がられても、さほどダメージはなく、あっけらかんとしている。食いしん坊で細かいことは気にしない、だが活力はあるという古き良き少年漫画の主人公みたいな気質。主人公の失敗により、自社だけが損をしている美人編集長は主人公に甘いし、わりを喰っている同僚の男性記者の関係も険悪でもないというゆるさもある。主人公の周囲も言うに及ばず、世間を騒がす怪盗とその部下もどこか間が抜けている部分があり、全般的にゆるいというか世知辛くない作風なのでのんびりとした気持ちで読める内容。
レトロ活劇の雰囲気も舞台設定もきっちりある世界観でのお気楽コメディというかんじ。本格レトロ活劇を望む人や、主人公の気質があわないといまひとつかもしれないが、個人的にはかなり楽しめたお話。きっちりとした線だが丸みのある可愛い絵柄、太めのペンタッチはレトロな世界観によく合っていると思う。

丸山薫
ビームコミックス全4巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★★
おかゆネコ 吉田戦車
2017年03月17日 (金) | 編集 |


独身一人暮らしの営業マンは、両親が託した?おかゆが得意なしゃべり猫と同居することになる。
独身一人暮らしの営業マンの主人公は仕事漬けで食生活が乱れて健康状態もよくはなかった。そんな息子を憂いた両親は、食生活改善のためおかゆを作るのが得意なツブを同居させることにした、というはじまり。
ツブはそのまんま猫。1年前に作品世界独自の病気・しゃべり病になっていた。しゃべり病とは人間の言葉を話せるだけでなく知能も人間並みになるという奇病。病というより進化っぽいけども。飼い猫と飼い主が意思疎通する漫画はわりとあるけどその設定に病を使っちゃう著者のセンスはやはりツボにはまる。
祖母仕込みのツブのおかゆ調理技術で主人公の食生活改善、が主軸のよう。著者独自のギャグ世界でおかゆに特化した料理漫画、といったところか。知識を披露、というより試行錯誤的な展開が多く一辺倒でない構成が面白い。
既作品と違い、本作品の軸であろうおかゆレシピは、好みはあるだろうが現実味があるものだった。というか著者自身実際作ってみたものばかりみたい。
ツブや主人公以外の登場人物たちは、一見普通のようで軸がズレてたり、美人だけど妖怪の域な女性もいたり、このあたりは著者の変わらぬ作風でどこかほっとする(笑)著者らしいナンセンスな設定や展開は健在ながら以前よりは落ち着いているというか読みやすくはなっている印象。私が著者の作品を読み慣れたからか年をとったからかもしれないが。
おかゆはダイエットにも使える面もあるみたいなので(普通にご飯を食べるより量が少なくて満足感があるから?)興味がある人にもおすすめかも。

ビッグスピリッツコミックス7巻 / 小学館
ジャンル:ギャグ・青年・グルメ / 好み度:★★★★★
残念女幹部ブラックジェネラルさん jin
2017年03月08日 (水) | 編集 |


世界征服を目論む秘密組織の女幹部なのに宿敵たるヒーロー・ブレイブマンの大ファンであるブラックジェネラルさん。ブレイブマンにテンション高めのアプローチをする彼女を中心に、ヒーローと組織の面々などが織りなすヒーロードタバタコメディ。
いわゆる正義のヒーローVS悪の組織コメディ。ナイスバディで目つきが鋭い美人の悪の組織の女幹部がヒロイン。彼女は部下を引き連れヒーロー・ブレイブマンと対峙、そして戦闘・・ではなく、自分がヒーロー・ブレイブマンの大ファンであるとぶっちゃけるところからはじまる。そう、彼女は元々ヒーローオタクで現在はブレイブマンの大ファンなのだった。彼女のネジの外れた熱烈なアプローチをはじめとした残念な言動や萌えコメディの鉄板のラッキースケベ事故により、ヒーローが別のベクトルで憔悴する、という流れを楽しむ作品。
美人なのに残念、でも好きな対象に一途なヒロインと、職業?に見合った生真面目で好青年な気質なのに、いかつい風貌で誤解を招きやすいヒーロー。ヒロインが処女という設定は悪女な風貌とのギャップのためなのか・・と考えるのは無粋なのかね。ヒーローの憔悴っぷりは哀れを誘うがそれがまた面白い。昨今では鉄板であろう、悪の組織が貧乏で庶民的で親しみがわく。
ハイテンションなノリのコメディ展開は巧いしどのキャラも好ましく仕上げているのが好印象。楽しく読める一品。

jin
ドラゴンコミックスエイジ1~ / 富士見書房
ジャンル:少年・コメディ / 好み度:★★★★★
おもいで停留所 池田邦彦
2017年03月03日 (金) | 編集 |


戦争が終わり数年経った昭和25年。戦争で父を亡くし中卒でバスの車掌をする少女の成長物語。
戦後から数年、人々の暮らしが徐々に活気を取り戻しつつもいまだ爪痕は残る時代の話。バスの車掌を仕事とする少女の視点から、戦争で家族を失った人、傷を持った人、様々な人々と彼女自身の暮らしや思うところが綴られていく。
主人公のある種の成長物語であり坦々と描かれるごく普通の人たちの日常の物語。読み物としてのドラマもきちんとあるが仰々しくはない。今では見られない当時の生活の描写も印象的だった。当時の人々の暮らしというのがなんとなく疑似体感できるような気がする秀作。
昔は路線バスでも車掌がいた、というのは知っていたけど仕事内容は初めて知った。戦争経験者は身近にいるがやっぱ自分の周囲のことしかわからんしね。今では当時を知る人もかなり減ってきてるんだろうし、このテの物語は貴重な気がするのだが。

ニチブンコミックス全1巻 / 日本文芸社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
監禁嬢 河野那歩也
2017年03月02日 (木) | 編集 |


男性は気がつくと見知らぬ女性に監禁されていた。女性は自分は誰だと男性に問う。平凡だった男性の日常は崩されていく。男性と男性を取り巻く女性たちによるサイコパスクライムサスペンス。
主人公であろう男性が冒頭から全裸にされ監禁された状態からはじまる。監禁したのは見知らぬ女性で、彼女は主人公を陵辱していき、自分が誰かわかるかと問う。男性は全く覚えがないのだが、女性が男性にとって誰なのかが物語の肝のよう。
主人公は教諭で、妻子が居る。主人公はその後、自分に好意を寄せるアグレッシブなタイプの女子生徒に、監禁状態から助けられるがその見返りとして関係を迫られるわ、自分を監禁した女性が自分の妻子と知り合い状態だわでしっちゃかめっちゃかというか、じわじわと退路を断たれた針のむしろ状態。謎の女性の狡猾かつ異様な行動も怖いが、自身が置かれた歪な状況からか主人公の心情のベクトルが危ない方向にズレてきているのも怖い。謎の女性以外の主人公の周囲の女性も突き抜けてるし。
オカルト的な要素が(たぶん)ないタイプのサスペンス構成も常軌を逸した人間描写のリアルさも秀逸。怖いけどどう話を収束させるのかとても気になる作品。物理的な監禁はわりとすぐ解けているけど精神面での監禁は続けてるからこの題名なのかな。関係ないけど謎の女性が時折見せる黒目が多い表情は青鬼を思い出す。


<こうのなほや>河野那歩也
アクションコミックス1~ / 双葉社
ジャンル:青年・サスペンス / 好み度:★★★☆☆