読んだ漫画の適当感想ブログ。現在2011年1月以降発行タイトル対象。
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短文感想
2017年07月19日 (水) | 編集 |
2013-7
タナトスの使者(1) (アフタヌーンコミックス)
吉田穰 赤名修
自らの死を望む人間の希望を叶える協会に属する青年の物語。主人公が依頼人に死を希望する理由を聞き周囲にその死を望まない者が全く居ないか、本人の希望を叶えるべきか否か綿密な調査をした上で決定する、を軸とした人間ドラマのよう。死が主題だがいい意味で淡々としている。劇画的なアップダウンのある展開や演出はあるけど肝のところで変な方にドラマチックにしないというか。1案件に1冊分のページを割く構成なのかな。だとしたら読み応えがあるし途中で読まなくなることもない絶妙な量なんだけど。複数巻。



姑獲鳥の夏(1) (カドカワデジタルコミックス)
京極 夏彦
京極堂シリーズ1作目コミカライズ。十月十日以上腹の中に胎児を抱えた妊婦を巡るレトロサスペンス。凡人の関の視点、不可思議な感覚描写、京極堂のクールなキャラ、探偵の突飛な発言の真実の読み解きと興味深い演出と展開。物語の魅力を十二分に伝える変わらぬ作画の質の高さが良い。量子論と妖怪の言われの元が同じ会話で出てくる。あの猫の説明はこの作品のが一番わかりやすいと思う。複数巻。★★★★★



頂! 1 (ジェッツコミックス)
文月晃
お嬢様学校の登山部4人による女子高生登山漫画。素人の天真爛漫な主人公ともう一人の新人、先輩二人の少数精鋭の登山もの。ガチの登山活動を旨としているので事故を起こさないために誰も彼も入れないという理由付けはあるが、女子の登山ものや自転車ものには定番の人数とキャラ配置ではある。お嬢様学校が舞台なのでなにげに百合要素とほんのりお色気を加味している。手堅いつくりだが既存作品に比べて地味な印象も。複数巻。



2014-7
新宿D×D (1)
安童 夕馬 彭傑
新宿を舞台に小さな診療所を営む医者の青年。アンダーグラウンドな行為もする飄々とした不良医師だが腕も見立ても一流。ある自殺とおぼしき事件で殺人だと断言したことから事件を担当する勝ち気な女性刑事と出会う。以後医者と刑事がバディ的な立ち位置で街の闇の事件を解決していくサイコサスペンス、なのかな。事件の見立てに関しては主人公でなくても検死でわかるだろうと思うところばかりだし二人のファーストコンタクトもなんか違和感を覚える。物語自体というかサスペンス構成は王道でそれなりに楽しめるのでまあ作風が合わないだけなのだろう。絵は綺麗だしキャラの見せ方も巧いと思う。絵柄は今風だが劇画系の大仰なかっこよさとお色気を加えたハードボイルドというかんじ。複数巻。



ミリオンジョー
2017年07月18日 (火) | 編集 |


急死した漫画家の代わりに編集・アシスタントが作品を完結させようとするサスペンス。
数々の記録を更新した人気少年漫画「ミリオンジョー」作者は変人で極力人に会わず、作者が指名した担当編集者である主人公は適当で最低限の仕事しかしない人間だった。そのあたりを含めヒット作を巡る人間関係を紹介がてら描かれていく。
だが件のヒット作品が完結間近を迎えたある日、その漫画家が急死する。生前度々胸が苦しいと訴えたたびに主人公は慌てて作者の元に向かってみれば異状がないということが繰り返されたため、初めてその訴えを無視したら本当に死んでしまった。
ヒット作未完のまま作者が急死という状態。主人公は作者の死を隠して、自分とアシスタントなどとともに作品を完結させようとするという展開。主人公は保身のためでも金銭的な理由でもなくきっちり完結させたいという望みのよう。
完結までのプロットが残っていたので漫画制作経験のある主人公がネームを切り、作者の生前からほぼすべてのペン入れをしていたアシスタントが描くため、オリジナルとのあからさまな乖離はない。制作以外では作者の影武者をたてたりもする。
自分たちの所行がバレないための工作を行うある種の犯罪サスペンスのようだが、主題は作者本人不在で作品は本物となり得るのか、もしくは同等の評価を得られるのか、というのが肝のよう。手探りのような作業、この作品のつくりでいいのかという葛藤とかも見所か。人間描写の完成度も高いように思う。

原作:十口了至 漫画:市丸いろは
モーニングKC / 講談社
ジャンル:青年・サスペンス / 好み度:★★★☆☆
イセングリムの夜警 紫堂恭子
2017年07月17日 (月) | 編集 |


のどかな村イセングリム。村で医者をしている兄と暮らす女性は、村落と森の境目にある街壁の門番の青年と出会ったことから、森に棲む怪異の存在を知ることになる。
西欧系の架空の世界の長閑な田舎の村が舞台。主人公の女性は、その村の医者を務める兄と同居しており、家事や診療所の雑用などをこなす明るく優しい気質の働き者。村には壁がありその向こうに入ってはいけない森が広がっており、壁の門には門番がいる。主人公はひょんなことからその門番の青年と知り合い、うっかり森に入って森に棲む不可思議な怪異と遭遇してしまう、というはじまり。
兄妹は孤児で兄のほうは医者の養子になり幼少時からこの村にいるが、妹の主人公は1年前に兄に呼ばれ村に住むようになったという経緯があり、村人には衆知であろう森のことを主人公は門番との出会いがきっかけで知るという展開。
門番は土地の人間でない、というところが強調され、自分も門番と同様によその人間だという思い、村というコミュニティに馴染めているのかという不安とかもクローズアップされていく。
単なる怪異と遭遇ホラーというわけではなく、それを通しての主人公の心情や、門番や兄との関係が丁寧に描かれている。未知の存在の恐怖だけでなくリアリティのある人間ドラマ的な要素も多分にあり読み応えがあるといえる。巻末に洋物の遠野物語、と著者が説明しているが、それな!と納得できる内容だった。怪異と人間の領域がきっちり分れているので事態が収拾すれば日常に戻るところも妙なリアリティがあったかも。ちなみに1巻に出てくる怪異は二口女とゾンビ。

紫堂恭子
朝日コミックス全2巻 / 朝日新聞出版
ジャンル:女性・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆
Good night! Angel 柊ゆたか
2017年07月17日 (月) | 編集 |


親元を離れ念願の一人暮らし、普通の高校生活に期待に胸を躍らせる少女の正体はプロの殺し屋。可愛くスタイリッシュだけどちょっと残念なヒロインと周囲の面々の日常を描いたコメディ4コマ。

主人公は親元を離れて念願の一人暮らしを始めた女子高校生、その正体はクールなプロの殺し屋。仕事ぶりはクールで業界でも優秀さは有名、なのだが日常生活ではドジっ娘属性の残念女子、という設定。お仕事完了時に決め台詞が題名になっている模様。
トモダチゼロから脱却するため高校デビューを望み、新しい一般人の友人が出来る一方で、母親から送られた仕事の相棒や同業者がやってきて、てんやわんやの大騒ぎ、というかんじ。
同級の女子との交流、仕事絡みのゴタゴタとエピソードには暇がない。人物描写の切り口、絵柄と全体的にシャープな独特の作風。主人公のオンオフのギャップと百合なノリが特徴かな。個々の人物の絵面は綺麗なんだけど、全体で見ると若干画面がごたついている印象も受ける。ストーリーものでもいけそうな構成なのと登場人物が多いためかも。

柊ゆたか
まんがタイムKRコミックス全3巻 / 芳文社
ジャンル;4コマ・コメディ / 好み度:★★★☆☆
ぼくらのフンカ祭 真造圭伍
2017年07月17日 (月) | 編集 |


近くの山が噴火したことにより変貌をとげ温泉町となった田舎町。そこに住む少年の視点から描かれる日常と青春の物語。

噴火の火山灰で閑散とし、温泉が出て浸水するという打撃の後、温泉と噴火を目玉とした賑わいを見せるようになる。そんな町に住む男子学生の主人公は温泉が出た直後、大人たちは呆然とするも温泉に浸かってみる人間だが同年代にはクールでモテるタイプらしい。観光地の賑いを見せる現在より昔の静かな環境のほうが好ましかったのでちょっと複雑な心情のよう。
自分の案が採用され周囲がよりよい方向に向かうも元々やる気満々というわけでないし素直に喜べもしない、茫洋としたというかもやもやしたものを抱えてるという、ちょっとめんどくさいキャラでもあったのだが、自分たちの祭りを行うことでわーっと弾けるような活発な心情に劇的に変わる展開。
クールというかちょっと一歩引いて環境を見る性格の主人公に対し、友人は少年らしいというか欲に忠実で直球な性格。たとえばモテる主人公の側に居れば女子と近づける機会もあるんじゃ、と思ったりするタイプ。この二人の気質の対比は視点の対比でもあり物語の深みを増す要素となっているかんじ。
絵柄がアートっぽい独特さも味があって良いし、当初は読みにくそうかなと思ったけど全く杞憂だった。

真造圭伍
ビッグコミックススペシャル全1巻 / 小学館
ジャンル:青年・青春 / 好み度:★★★☆☆